近年、クラウドサービスやリモートワークの普及により、企業のIT環境は大きく変化しています。その一方で、意外と見落とされがちなのが「USBメモリの使用ポリシー」です。情報漏洩やマルウェア感染といったインシデントの入口にもなり得るUSBデバイス。今こそ、その取り扱いルールを見直す時期ではないでしょうか。

USBメモリがもたらす“見えないリスク”
USBメモリは、社内外のデータ移動を簡便にする反面、以下のようなリスクを内包しています。(USBポリシー)
- 紛失・盗難による情報漏洩
- 悪意あるUSB経由のマルウェア感染
- 許可されていないデータの社外持ち出し
- 操作ミスによる機密情報の上書き・削除
特に、リモートワークやBYOD(私物端末の業務利用)が広がる中で、「誰が、どこで、どのようにUSBを使っているのか」が把握しきれない状況は、重大なセキュリティホールとなり得ます。
現場任せになっていませんか?USBポリシーの実態
多くの企業では「USBメモリは使わないように」といった曖昧なルールのみが存在し、実質的には各現場の判断に任されているケースも少なくありません。しかし、この“運用頼み”の状態は非常に危険です。ポリシーがあっても、それが「明文化されていない」「周知されていない」「技術的に強制されていない」のであれば、意味をなさないのです。
今こそ求められる「制御」という視点(情報セキュリティ)
USBメモリのリスクに対して有効なのは、「制限」ではなく「制御」です。
制御とは?
単に「使わせない」だけでなく、“必要な人に、必要なときに、必要な範囲で”使用を許可するという考え方です。
実現のための3つの柱(USBポリシー)
- 明確なポリシーの策定
- どの部署が使用可能か
- 使用にはどのような申請が必要か
- 暗号化の義務、使用後のデータ削除ルールなど
- 技術的なコントロールの導入
- USBポートの制御ソフト導入
- 特定の端末/デバイス以外は接続できない設定
- 利用ログの自動取得と監視
- 継続的な運用と教育
- 社員向けのセキュリティ研修
- 定期的なポリシー見直しと現場ヒアリング
- インシデント発生時の迅速な対応体制
安全性と業務効率の両立を(USBポリシー)
USBポリシーの見直しは、単なる禁止や制限ではありません。重要なのは「業務に必要な利便性を残しつつ、セキュリティリスクを最小限に抑える仕組み」を作ること。ポリシーの設計から運用までを一貫して整備することで、企業全体の情報セキュリティレベルが底上げされます。
“気づいたときには遅かった”では済まされない時代です。
USBメモリという小さなデバイスから、企業の大きなリスクにつながる前に──。今こそ、USBポリシーを見直すタイミングです。
参考:「USBメモリ制御の最前線:安全な業務環境を構築するために」についてのコラムはこちら

