WiFiは、今や企業活動において“空気”のような存在です。
当たり前のように使われ、場所を問わず接続できる。利便性は圧倒的です。しかしその“見えない便利さ”の裏に、重大なセキュリティリスク、見えない脅威がWiFiセキュリティに潜んでいることを忘れてはいけません。
無線であること=誰でも届く可能性があること。
つまり、適切な制御をしなければ、外部からの侵入、不正接続、社内情報の漏洩といったリスクが常に存在しています。
このコラムでは、企業が見落としがちなWiFiの脅威と、それにどう立ち向かうべきかを整理し、**WiFiセキュリティの“今”と“これから”**をご紹介します。

■ WiFiの「利便性」が企業リスクになる瞬間
たとえばこんなケースに、心当たりはありませんか?
- ゲスト用WiFiが社内ネットワークと同じ回線に接続されている
- 退職者のPCが以前のSSIDに自動接続している
- 会議室のWiFiが“パスワードなし”で誰でも入れる設定になっている
- 業務用PCが外出先のフリーWiFiに接続し、社内ネットワークにVPN接続
一見すると些細なことに見えますが、これらはすべて情報漏洩・サイバー攻撃の入り口となりうるポイントです。
【第3回】事例で学ぶ「危険なWi-Fi設定」、トラブル例と正しい対処 自宅で、会社で、外出先で――セキュリティを守るための“ポイント”は? – INTERNET Watch
■ 脅威は「見えない電波」の中にある
WiFiは目に見えない通信だからこそ、管理・制御されていない領域が放置されやすいという特徴があります。
実際、以下のような脅威は企業ネットワークを日々狙っています:
- 不正アクセスポイント(なりすまし)
従業員が偽装されたWiFiに接続し、情報を抜き取られる。 - 内部からの不正接続
許可されていないデバイスがネットワークに侵入し、情報を持ち出す。 - 暗号化レベルの不備
WPA2やWPA3を使っていない古いルーターが狙われ、通信が傍受される。 - アクセスログの未取得
異常が起きても“誰が・いつ・どこから”アクセスしたかが追えない。
■ 対策のカギは「可視化」と「制御」
見えないからこそ、WiFiの状況を“見える化”することが第一歩です。
そこで今、企業が取り入れているのがWiFiのアクセス制御・可視化ツールの導入です。
たとえば:
- 接続可能な端末をMACアドレスで管理・制限
- 部署や業務に応じたSSIDの分離運用
- ゲストWiFiは社内ネットワークと完全分離
- リアルタイムで不正接続を検知・遮断
- 全ての接続ログを自動で収集・保存
こうした仕組みがあるだけで、リスクの芽を初期段階で潰すことが可能になります。
■ WiFiセキュリティは「IT任せ」で終わらせない
もう一つ重要なのは、WiFiセキュリティは“ツールの導入だけ”では完結しないということです。
- 社員の意識教育(フリーWiFiの危険性、VPNの使い方)
- 定期的なパスワード更新とアクセス権の見直し
- セキュリティポリシーの明文化と共有
- オフィスレイアウト変更時の無線設計の再検討
“守りの文化”が企業全体に根づくことで、はじめてセキュリティの力は発揮されます。
■ まとめ:WiFi制御は「守りのDX」である
デジタル化が進むほど、無線ネットワークは“攻撃対象”にもなります。
だからこそ、WiFiの制御は単なる管理業務ではなく、企業全体を守る戦略的な投資です。
見えない脅威にこそ、最先端の視点で備える。
WiFiセキュリティの最前線に立つのは、あなたの選択です。

