会計ソフト連携アプリの作り方ーAPI設計・実装・運用のポイントー

会計ソフト API

◆ はじめに:なぜ今“会計ソフトとの連携アプリ”が求められているのか?(会計ソフト連携アプリ)

企業のDXが進む中、「販売管理・勤怠・受発注」など他システムと会計ソフトを連携させるニーズが急増しています。(会計ソフト連携アプリ)

その理由は明確です。

  • 手入力・CSV取り込みの作業を減らしたい
  • データのリアルタイム連携で経営スピードを上げたい
  • 電子帳簿保存法・インボイス制度など法令対応を自動化したい

こうしたニーズを受けて、会計ソフトと外部システムを“APIでつなぐ連携アプリ”の開発需要が急拡大しているのです。


◆ 会計ソフト連携アプリとは?

会計ソフト連携アプリとは、次のようなシステムのことです:

「販売・勤怠・経費などの業務データを、API経由で会計ソフトに連携し、自動で仕訳・処理・集計を行うアプリ」

APIを介して、以下のような処理が実現できます:

  • 請求書データの自動登録
  • 経費精算→仕訳→支払までの一括処理
  • 銀行入出金の自動取込と消込
  • 取引先情報・品目のマスタ連携

目次

◆ 【STEP 1】要件整理:なにを、どうつなぐのか?(会計ソフト連携アプリ)

✔ 連携する対象データを明確にする

  • 売上・請求・支払
  • 経費・交通費・振込申請
  • 入出金・残高情報
  • マスタ(取引先・勘定科目)

✔ ユースケースを洗い出す

  • 新しい請求書が登録されたら、会計ソフトに自動登録
  • ワークフローで承認された経費精算を仕訳に変換
  • 1日1回、入出金明細を取得して消込する

このような具体的な業務フローに沿ってAPI設計に落とし込むことが重要です。


◆ 【STEP 2】API設計:信頼性と拡張性を両立せよ

✔ データ構造は「会計ソフトの仕様」に沿って設計

  • 多くの会計ソフトでは、**取引(Journal)/仕訳(Entry)/請求書(Invoice)**など、エンティティ構造が明確に定義されています。

例:

jsonコピーする編集する{
  "issue_date": "2025-04-01",
  "partner_name": "株式会社サンプル",
  "amount": 50000,
  "tax": 5000,
  "account_item": "売上"
}

✔ 認証・認可を設計に組み込む

  • OAuth 2.0 が主流(例:freee API、マネーフォワード)
  • ユーザー単位 or アプリ単位でのアクセストークン管理が必要

✔ 冪等性を担保するID設計

  • 同じ請求書が二重で登録されないよう、UUIDやユニークキーを利用

✔ ログとエラーハンドリングを設計段階から組み込む

  • 通信エラー・会計ソフト側のバリデーションエラー対策は必須
  • ログ出力は運用時のトラブル対応を大幅に楽にします

◆ 【STEP 3】実装時のチェックポイント

✅ 使用するAPIの制限を確認

  • API利用制限(1日◯回、1分間◯リクエスト)
  • 必須項目や整合性チェック(勘定科目、税区分など)

✅ テスト環境(サンドボックス)の有無を確認

  • freeeやマネーフォワードなどは開発者向け環境を提供

✅ データ変換・整形処理の設計

  • 例:外部システムから受け取った「税込価格」を「税抜+税区分」に変換
  • 会計ソフトに合わせたフォーマット変換ロジックが重要

◆ 【STEP 4】運用と保守:安定性と透明性がカギ

✔ 監視と通知を仕組みに組み込む

  • 連携失敗時に通知(Slack / メール)
  • 例外処理をスキップせずに記録・再実行できる設計

✔ API仕様のアップデートに備える

  • 会計ソフト側の仕様変更は年1〜2回程度発生することがある
  • バージョン管理・ドキュメント参照の仕組みが必要

✔ 情報セキュリティ対応も忘れずに

  • アクセストークンや個人情報の安全な管理
  • ログイン認証の失敗検知や不正リクエストの制限

◆ よく使われる会計ソフトAPIの特徴(2025年時点)

サービス名API特徴サンドボックス認証方式
freee会計豊富なエンドポイント、詳細なドキュメントありOAuth2.0
マネーフォワード経費・請求・会計を統一連携ありOAuth2.0
弥生会計オンライン基本機能中心、外部開発向け拡大中一部ありAPIキー型・一部OAuth対応中

◆ おわりに:API連携アプリが“業務設計の主役”になる

これまでは「業務に会計ソフトを合わせる」時代でした。
これからは、「API連携を前提に業務を設計する」時代です。

しっかり設計された連携アプリは、手入力をなくし、ミスを防ぎ、スピードを上げ、経理部門や現場を解放します。
そして、それが企業のDXを確実に前へ進める力になります。

API連携アプリは、単なる“便利ツール”ではなく、企業の情報インフラです。

参考:「会計ソフトAPIとは?導入・開発のメリットをわかりやすく解説」についてのコラムはこちら

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